『海の宝石~駿河湾のさくらえび』
2008年4月
さわやかな春風と共に、桜の便りが南方から聞こえてくる季節となりました。それに伴うかのように先日、静岡県の駿河湾でも、桜色した海の宝石と呼ばれる「桜えび」の春漁が解禁となりました。以前は通年して行われていた漁も、近年の漁獲量減少を受け、今は春と秋の二期に分けて行われているようです。さてこの「桜えび」、漁をしているのは駿河湾のみで、水揚げ漁港も由比・蒲原・大井川港だけなのです。現地ではこの時期、桜えびを干す光景が桜を敷きつめたように美しく、春の風物詩となっています。
桜えびは、えび類の中では珍しく殻ごと食べられます。その殻には、他のえびの約15倍ものカルシウムが含まれ、殻は動物性の食物繊維であることから、とても貴重な食材とされています。一年を通して素干し・釜揚げなどが、お好み焼きやかき揚げでお馴染みの桜えびですが、春の桜えびは秋物に比べ殻が柔らかく、生鮮物としても旬とされています。
生の桜えびは、素干しと違い甘みが多く、水分もあるためプリッとした食感が味わえます。その違いはかき揚げをすればわかるはずです。基本的に、調理法はどちらも変わりませんが、生の桜えびを小麦粉・水と混ぜる前にボウルで水気をよくきって、桜えびに直接、小麦粉をからめましょう、水気が飛ばず、食感が生きます。出来上がったら、お好みで天つゆ・大根おろしや素材を味わう塩などで、春の味覚を満喫してはいかがでしょう。