2006年6月

　　新緑がまぶしく、木々の生長するエネルギーが日々目に止まります。今月は、アイナメをご紹介しましょう。

 アイナメは、ホッケに似た沿岸の瀬と言われる岩礁に生息しています。夜になると活動が激しくなり、海老や魚の稚魚を食べ成長します。身は、白身で淡白です。皮ぎしに軟骨があり、小骨は殆どなく食べやすい魚です。特に、福島県沖から八戸沖の沿岸の釣り物が有名で、岩手釜石では、ビール瓶と呼ばれる１キロを超える大型のものが最高級と言われています。

 刺身や洗い、握り寿司のネタが一般的ですが、吸い物の椀ダネや塩焼きも良く出されます。私のお薦めは、木の芽焼きです。会津地方では、この時期、裏山椒と呼ばれ昔からある家では、家の裏に山椒木を植えてあります。その新芽を摘み、水で戻した身欠にしんを本郷焼きの専用の鉢に漬け込んだり利用されます。この新芽を刻み、鱗を取って三枚に卸し、骨切りしたアイナメに挟み、塩を振り、皮ぎしに金串を打ち焼きます。仕上げに卵黄を溶いて刷毛で塗り、再度焼きます。しっとりとした淡白な味わいと薄っすらと表面ににじみ出た脂が、木の芽の爽やかさと混ざり初夏の清々しさを醸し出します。山椒の実をつぶした粉山椒を使い、甘辛く醤油で煮付けても美味。季節のアイナメを是非ご賞味ください！