『東の横綱 アンコウ鍋』
2006年1月
新年をむかえたかと思いますと早節分。寒さも本番となり、暖かいお鍋で温まりたいと感じる頃。さて、今回は西の横綱「ふぐちり」に対抗して、東の横綱「あんこう鍋」をご紹介します。 あんこうの生態は、東シナ海からオホーツク海まで分布し、茨城県沖から福島県沖にかけて生息するものがキモが大きくて重宝されています。 しかし、近年、水揚が減少し、中国や韓国・アメリカ・カナダなどからの輸入品も増えています。 深海魚であり、姿・形の醜さからは想像が出来ない味わい深い魚です。深海の海底に腹ばいに潜み、 目の上の突き出た触角の様な物を小魚に似せ、餌だと思って近づいてきたところを大きな口で ぱくりと食べてしまうところから、釣人魚(アングラーフィッシュ)とも呼ばれています。 身卸も珍しい「吊るし切り」という方法で行います。くねくねとしたアンコウは、まな板の上では 不安定なので、吊るす事によって安定するからです。そうして身卸されたアンコウは、七つ道具と呼ばれる 身・皮・キモ(肝臓)・ヒモ(卵巣)・やなぎ(ほお肉)・胃袋・えらとそれぞれの食感と味が楽しめます。
福島県いわき市は、本場。「あんこうのどぶ汁」呼ばれる鍋は有名です。キモと味噌を鍋で炒めてから汁を注ぎ、 湯通しした身や七つ道具を入れ、野菜を煮込んでいただきます。身・皮は、プリプリした食感に濃厚なキモの入った汁は、 体の中から暖めてくれます。キモを湯通しして、味噌と砂糖・サワビと酢を加え、湯通しした身と皮を合えた「ともあえ」も絶品です。
「フウフウ」と鍋を囲み、アンコウ料理をご賞味ください。